葬儀の時のマナーについて分かりやすく解説します。

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葬儀は、故人を偲び、遺族に哀悼の意を表す大切な儀式です。しかし、適切なマナーや振る舞いについて不安を感じることも多いでしょう。この記事では、葬儀に参列する際の服装から受付の流れ、香典の準備、焼香の方法、参列できない場合の対応など、葬儀における基本的なマナーを分かりやすく解説します。

1. 葬儀に伺う際の服装

葬儀では、故人を偲ぶ気持ちを表すため喪服の着用がマナーとされています。男女や年齢によって異なる点を考慮しましょう。

・大人: 男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルが基本です。女性の場合、和装も選択肢に入ります。

・中高生: 制服がある場合はそれが正式礼服です。制服がなければ、シンプルな服装で参列するのが適切です。

・大学生: 制服がないため、大人と同様の喪服が望ましいですが、お通夜には入学式やリクルートスーツも許容されることがあります。

・幼児・小学生: 学校の制服

がない場合、男の子は白シャツに黒・濃紺・グレーのズボンが適切です。女の子は黒・濃紺・グレーのスカートやワンピースに白い襟付きブラウスが一般的です。

子供の場合、無地のシンプルなスタイルが無難ですが、夏場はブレザーやジャケットの着用が難しい場合、ポロシャツでも許容されます。

また、靴下はくるぶし丈や膝上丈を避け、無地のものが好ましいです。リボンやフリルなど派手なアクセサリーやバッグは避けましょう。髪型は清潔感のあるすっきりとしたスタイルを心がけ、女の子の場合は髪がお辞儀をしたときにかからないようにまとめることがマナーです。

2. 葬儀の受付では

葬儀の受付は単なる出欠確認以上の重要な役割を果たします。遺族の代表として参列者を迎え、葬儀の第一印象を左右するため、細やかな配慮とマナーが求められます。

・準備: 会場のトイレや終了時間、タクシー利用などに関する情報を把握しておくことが大切です。

・芳名カードの受け取り: 参列者から芳名カードを受け取り、適切に管理します。芳名帳への記帳も促します。名前と住所が正しく記載されているかを確認します。

・挨拶: 落ち着いたトーンで「本日はお忙しいところお越しいただき、誠にありがとうございます」と挨拶し、必要に応じて「このたびはお悔やみ申し上げます」と言い添えます。

・香典の受け取り: 香典を両手で受け取り、一礼します。香典を辞退する場合は、「ご遺族(あるいは故人)の意志により、香典は辞退申し上げております」と説明します。

・返礼品の渡し方: 記帳や香典の受け取りが終わったら、返礼品を渡します。大規模な葬儀では、返礼品を渡す係を別に設けることが推奨されます。

・会場への案内: 返礼品を渡した後は、「こちらからどうぞ」と案内します。年配者などサポートが必要な場合は、入り口まで付き添います。

・香典の会計係への渡し方: 香典は受付係の直後にいる会計係に渡します。盗難防止のため、香典袋を溜めずに早めに会計係に渡すことが重要です。

このような流れで受付を行い、参列者に敬意を払いながらスムーズに対応することで、葬儀を円滑に進行させることができます。

3. 葬儀の香典を準備する

香典は故人への供養の意を込めた金品で、包み方や金額は地域や関係性によって異なりますが、基本的には新札を使用しないのがマナーです。香典を包む際は、以下の点に注意しましょう。

・ふくさの使用: 香典はふくさと呼ばれる布に包んで持参するのがマナーです。風呂敷タイプのものが正式とされ、弔事用は紫色や紺色などの寒色系が適切です。

・包み方: ふくさをひし形に広げ、不祝儀袋を表向きに置いて右側から折り始めます。その後、上・下の順に折り、左側の布を折り込んで完成させます。

・表書きのマナー: 仏式では「御香典」や「御霊前」が一般的です。キリスト教ではカトリックは「御ミサ料」、プロテスタントでは「御花料」、神式では「御榊料」や「御玉串料」が用いられます。

・金額相場: 香典の金額は故人との関係により異なり、親族の場合は5,000円から10万円程度、会社関係では3,000円から1万円程度が一般的です。紙幣は奇数枚にするのがマナーで、新札は避け、折り目をつけて包みます。

これらのマナーを遵守することで、故人への敬意を適切に表すことができます。

4. 葬儀の際の焼香で気を付けること

葬儀での焼香は、故人と仏様に対する敬意と供養の意を表す重要な行為です。以下のステップに従って、適切に焼香を行いましょう。

  1. 祭壇に進む: お焼香の順番が来たら、係の案内に従い、祭壇の前まで進みます。数珠は左手に持ち、房を下に垂らします。
  2. 遺影・喪主・参列者に一礼: 故人の遺影、喪主、そして参列者全体に向けて一礼します。これは、故人とのつながりと敬意を示すための行為です。
  3. 合掌: 故人に向かって胸元で合掌し、故人への敬意を表します。
  4. 焼香: 右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまみ、軽く頭を下げてから香炉に抹香をくべます。宗派によって焼香の回数は異なりますが、不明な場合は一般的に3回繰り返すのが適切です。式中に回数の案内があればそれに従います。
  5. 再度一礼: 焼香が終わったら、再び故人、喪主、参列者に向けて一礼し、感謝の意を示します。

焼香と線香は、どちらも香りと煙を立てて故人に敬意を表す道具ですが、使用する場面が異なります。焼香は葬儀や法事などの重要な儀式で行われ、線香は日常的な場面で用いられます。

焼香の意味には、心身を清らかにする、故人や仏様に供える、現世と霊界をつなげるなどの重要な宗教的な意味があります。これらのマナーを遵守し、故人に対する敬意と感謝を込めて焼香を行いましょう。

5. 参列できない場合はどうする?

葬儀に参列できない場合、故人や遺族に対する哀悼の意を表す方法はいくつかあります:

  1. 弔電の送付: 弔電は、故人や遺族に対する哀悼の意を簡潔に伝える手段です。仕事や距離などで葬儀に参列できない場合によく用いられます。
  2. 香典の送付: 参列できない場合でも、香典を送ることで哀悼の意を示すことができます。郵送や葬儀社を通じて送る方法があります。
  3. お花や供物の送付: 故人や遺族との関係に応じて、供花や供物を送ることも一般的です。供花はスタンド花がよく使われ、葬儀の会場の入り口などに飾られます。
  4. 後日の弔問: 葬儀に参列できなかった場合、後日喪主の自宅を訪問し、お線香をあげることも一つの方法です。告別式から数日経ってから訪問するのが望ましいです。
  5. インターネットや電話サービス: 現代では、インターネットや電話を通じて弔電を申し込むサービスも利用できます。これらのサービスは、複数の台紙やセットオプションから選べるため、個別の状況に合わせて選択が可能です。

これらの方法を通じて、遠方にいる場合や何らかの理由で葬儀に参列できない場合でも、故人や遺族に対する敬意と哀悼の意を表現することができます。

6. 前もって弔問する場合はどうすればよいか

通夜や葬儀に参加できない場合、遺族の了解を得て前もって弔問することはマナー違反ではありませんが、以下のポイントに留意することが大切です。

  1. 事前の連絡: 弔問前には必ず遺族に連絡し、訪問の都合を確認してください。
  2. 短時間の訪問: 弔問は長居せず、短時間で終えることが望ましいです。遺族の負担を考慮することが重要です。
  3. 服装: 葬儀後の弔問では、喪服は避けるべきです。落ち着いた色合いの服装が適切です。
  4. 持参するもの: 手土産は必要ありませんが、故人への供養としてお菓子、果物、花などの供物を持参することをお勧めします。生ものは避け、香典も持参します。
  5. 挨拶: 弔問時には、「この度はご愁傷様です」という弔意を示す言葉を述べ、遺族を気遣う言葉を添えます。故人の死因や病状について詮索しないようにし、長話は避けることがマナーです。

これらのマナーを遵守することで、故人と遺族に対する敬意を適切に表現することができます。

まとめ

葬儀に参列する際は、故人と遺族への敬意と心遣いが何よりも大切です。服装、香典の準備、焼香の方法、参列できない場合の対

応など、それぞれの場面で求められるマナーを守ることが重要ですが、場合によっては柔軟な対応も必要です。この記事で紹介したマナーを遵守しつつ、ご遺族の気持ちを考慮し、故人を適切に偲びながら、敬意を持って葬儀に臨みましょう。

長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。