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近年、葬儀は不要という考えの方が都心部を中心に増えてきているとの話をよく聞くようになりました。私の立場としては故人を送る儀式の重要さは仕事柄かなり心得てはおりますが、時代の変化や家族や親戚との関係の変化など止む負えない事情も理解はできます。ただし、後々知らずに葬儀を行わなったことで親族内で揉めてしまったなどという話も聞くこともあります。ここでは火葬式や直葬と呼ばれる葬儀をしない故人の送り方についてメリット、デメリットも含め丁寧に説明していきます。
1火葬式とは
火葬式とは、お通夜と告別式を省略したお葬式です。一般的なお葬式で執り行われる儀式は以下の通りです。
基本的に一般葬や家族葬と呼ばれるお葬式は、お通夜・告別式・ご火葬の3つすべてを執り行いますが、火葬式は式場を使わずに、火葬場でのご火葬のみとなります。
式を省略してシンプルにご火葬のみを行うため、ご家族の負担を抑えられるお葬式として注目されています。
特に都市部を中心に火葬式が増加傾向にあり、今後も増加することが予想されます。
ただし、火葬式にはメリットとデメリットがあるため、それぞれをご理解の上でどのようなお様式にするのかを決めなければいけません。
2火葬式のメリット・デメリット
火葬式のメリット
まずは火葬式のメリットを見ていきましょう。
・費用・時間がかからない
火葬式は近年は「直葬」と呼ばれており、当日は火葬場へ直接集合してそのまま火葬を行うため、一般的には費用・時間ともに抑えられることが多いです。
お葬式を二日間で行う場合はある程度の費用負担が必要となりますが、火葬式はそれらを省略してご火葬のみを行うため、限られた費用内でも対応できます。
所要時間も比較的短いため、気力面・体力面での負担が少なく、故人さまのご家族はもちろん、参列者の方にとっても負担を抑えられるのが魅力といえるでしょう。
・参列者のことを気にしなくてよい
火葬式はお通夜や告別式がをないため、参列者は近しい人に限られるので対応などを気にしなくてもよいのがメリットでしょう。
故人さまがお亡くなりになった直後は気分も滅入っていて、参列の方にまで気が回らないという方も多いです。
そのため、参列者への対応を最小限に抑えたい方が火葬式を選ばれているといえるでしょう。
火葬式のデメリット
次に火葬式のデメリットを見ていきましょう。
・故人さまと最後の時間をゆっくり過ごせない
火葬式は、故人さまとゆっくりお別れできないのがデメリットです。
当日は直接火葬場に集合し、そのまますぐにご火葬が行われるため、故人さまを偲んでゆっくり対面したりする時間があまりありません。
そのため、安置時間から面会できるように工夫しておきたいです。ただし、施設によっては安置しているご遺体に面会できないこともあるため、事前にしっかり調べておきましょう。
・周囲から理解が得られない場合ある
火葬式は儀式の形態はとらないことから、親族や知人から理解が得られないこともあります。
都心を中心に増加している火葬式ですが、宗教儀礼を省略することもあって他のご家族から反対されるトラブルも多くなっています。
特に長年お世話になってきた菩提寺がある場合とトラブルになる可能性もあるため、きちんと相談してから決める方がよいでしょう。
3ご火葬を行う際に必要な手続き
火葬を行うには、いくつかの法的手続きが必要です。具体的には以下の通りです:
- 死亡届の提出: 死亡が確認された後、速やかに市区町村役場に死亡届を提出します。
- 火葬許可証の取得: 死亡届を提出すると、火葬許可証が発行されます。この許可証がなければ火葬を行うことはできません。
- 葬儀社の手配: 火葬を含む葬儀全体の手配を行う葬儀社を選定し、日程や内容を相談します。
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ご火葬から収骨までの流れ
- 葬儀: 通常、葬儀(告別式)が行われます。ここで故人とのお別れの儀式が行われます。
- 火葬場への移動: 葬儀が終わると、遺体は火葬場に移送されます。
- 火葬: 遺体は火葬炉に入れられ、火葬が行われます。火葬には数時間かかります。
- 収骨: 火葬が終わった後、遺骨を収骨します。遺族は骨壺に遺骨を納めます。
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ご火葬に関するマナー
- 服装: 黒や暗い色の服装が一般的です。特に喪服が適しています。
- 礼儀: 故人に対しての敬意を示す行動を心がけます。例えば、遺体や遺骨に触れる際は慎重に行動します。
- 静粛: 火葬場では静粛に過ごすことが求められます。特に火葬の間や収骨の際は静かにします。
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ご火葬にかかる費用相場
火葬にかかる費用は地域や火葬場によって異なりますが、一般的には以下のような費用が発生します:
- 火葬費用: 約5万円〜10万円程度が相場です。
- 葬儀費用: 通常の葬儀費用は数十万円から数百万円に及ぶことがあります。
- その他: 霊柩車や会場費用、僧侶への謝礼なども費用に含まれます。
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まとめ
火葬式は、日本において非常に一般的な葬儀の形式で、多くの人々に受け入れられています。火葬を選ぶことで環境への配慮や土地の有効利用が可能であり、衛生的な利点もあります。しかし、一部の宗教的な制約や感情的な負担も考慮する必要があります。火葬を行うには法的手続きをしっかりと踏まえ、適切なマナーを守ることが重要です。費用も大きな要素であり、事前にしっかりと計画することが求められます。
長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。