【病院で亡くなった時のやるべきこと】臨終から納棺までの流れとは?

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失った愛する人への最後の敬意をどう示すか。病院で亡くなった大切な人への適切な手続きは、遺族にとって心の整理と悲しみの乗り越え方を左右します。この記事では、医師による死亡宣告から納棺までの重要なプロセスを詳細に解説し、病院からの葬儀社紹介の取り扱い、遺体の搬送方法、そして最終的なお別れの儀式に至るまで、一つひとつのステップを丁寧に説明しています。愛する人を失うという深い悲しみの中でも、故人への最後の敬意を尊重しながら、後悔のない行動を取るための具体的な手順をお伝えします。

1:身近な人が病院で亡くなったら

病院で身近な人が亡くなった時、その衝撃と悲しみは計り知れません。しかし、この時に何をすべきか知っておくことが後に大きな力となります。まず、医師による死亡の宣告と死亡診断書の作成が行われます。この死亡診断書は、火葬や埋葬を含むさまざまな手続きに必要不可欠です。

故人の身内がいる場合、訃報を伝えるのが最初のステップです。また、日本の伝統的な習慣である「末期の水」の儀式を行うことも考えられます。これは、後ほど詳しく解説しますが、故人の唇を潤すために水を与える儀式で、血縁関係の近い方から順に行います。

病院では臨終後、遺族が故人の安置先を決め、遺体の搬送を手配する必要があります。病院によってはなるべく早く病院を出るように促されることもあり、葬儀社選びは限られた時間の中で行うことが多いです。病院からの搬送後は、時間に余裕ができ、より落ち着いて葬儀社を選ぶことが可能です。

2:病院で亡くなってから、病室で行われること

病院での死亡が確認された後、故人の遺体に対しては病室で清拭やエンゼルケアと呼ばれる初期処置が施されます。これらの処置により、故人の体は清潔に保たれ、その尊厳も考慮されます。

清拭は、故人の体をお湯やアルコールを含ませたガーゼや脱脂綿で拭き清めることを指し、故人が装着していた医療機器を外す作業も含まれます。エンゼルケアは、故人を最期にふさわしい姿にするために行われ、身繕いや化粧を施し、闘病中の跡や傷口をカバーします。故人が生前気に入っていた衣装や家族の思い入れのある衣類を着せることも可能です。

これらの手順を経た後、故人の遺体は霊安室へ移動されますが、この間に遺族は遺体の搬送に関する手続きを行います。通常、遺体は病院の霊安室で一時的に保管されますが、搬送に関する手続きは早急に行う必要があります。このため、故人の遺体を自宅や安置施設に搬送するための葬儀業者を急いで探すことになります。病院は葬儀業者と提携していることが多いですが、自分たちでインターネットなどを利用して探すことも可能です。遺体の搬送は通常、半日から一日程度の短い時間で行われるため、迅速な決定が求められます。

3:霊安室に移動してから行うこと

エンゼルケアなどの衛生処理が完了し、遺体が霊安室に移動された後、遺族はさまざまな感情に直面しつつも、これからの手続きに向けて準備を始めます。霊安室に遺体を安置できる時間は限られているため、葬儀の準備や手続きを迅速に進める必要があります。

葬儀社がまだ決まっていない場合、この段階で選定を行います。葬儀社が決まっている場合は、菩提寺の都合や火葬場の空き状況を考慮しながら、葬儀の日程と場所を決定します。日程と場所が決定したら、親族や友人、仕事関係者などへの連絡を行います。遺族にとっては心理的に大きな負担が伴うため、これらの手続きを知っておくことで、いざという時に適切に対応できるように準備しておくことが重要です。

4:ご遺体を医療施設から搬送する

ご遺体を医療施設から搬送する際、様々な選択肢があります。この選択はご遺族に委ねられており、病院の紹介に限定されるわけではありません。

病院で亡くなった場合、遺体は病院の霊安室に一時的に移動しますが、病院に長時間いることは難しいため、遺体の搬送が必要になります。この搬送は、葬儀社や搬送専門業者に依頼することが一般的です。特に遠方への移動が必要な場合、搬送専門業者に依頼することが多いです。

搬送先の選定も重要です。搬送先は自宅や葬儀社が所有する安置施設などがあり、各々の選択にはメリットとデメリットが存在します。自宅に搬送する場合、費用が発生しないメリットがありますが、スペースの制限や必要な設備の有無に注意が必要です。一方、安置施設を利用する場合、安置に必要な設備が整っているメリットがありますが、費用が発生することがデメリットです。

搬送料金については、搬送距離によって異なります。定額距離を超えると、追加料金が発生することがあります。また、夜間や早朝の搬送、霊柩車の待機時間による料金の加算も考慮する必要があります。

このように、ご遺体の搬送は多くの要素を考慮する必要があります。葬儀の準備を行う際には、これらの情報を把握し、最適な選択を行うことが大切です。遺族が直面するこの重要な段階を、慎重に進めることが、故人への最後の敬意となります。

5:病院から紹介された葬儀会社を利用する必要は?

病院から葬儀会社を紹介されることには、いくつかの注意点があります。まず、病院から紹介された葬儀社を利用する場合、葬儀費用が自分で探した場合より高くなる可能性がある点に注意が必要です。これは、病院と葬儀社の間の契約に費用がかかるため、その費用を葬儀の仕事で回収する必要があるからです。

また、病院から紹介された葬儀社に決めてしまうと、他の葬儀社と比較できない場合があり、故人の希望に合った葬儀が行えない可能性もあります。

しかし、病院からの葬儀社紹介を断ることは問題ありません。すでに決めている葬儀社がある場合はその旨を伝えることができますし、他社と比較して決めたい場合も同様です。搬送のみを依頼する場合、安置場所について注意が必要です。自宅に安置できない場合、通常は葬儀社の施設に故人を安置しますが、その際には搬送費や安置施設の使用料などの費用がかかります。

このように、病院から紹介された葬儀会社を利用するかどうかは、ご遺族が慎重に検討し、自分たちの希望に最も合う選択をすることが重要です。

6:遺体を自宅や安置施設に移動してから行うこと

遺体が搬送された後、ご遺族には葬儀の具体的な計画を始める重要な役割があります。葬儀の規模や形式、宗教的な儀式の有無など、さまざまな要素を葬儀会社と相談しながら決定する必要があります。病院での亡くなり後、霊安室に移動・安置された遺体は通常、短時間で病院を退去しなければならず、この時点で葬儀の準備が始まります。この時期には、病院提携の葬儀社からの勧誘があるかもしれませんが、安易に決めずに冷静な対処が必要です。

また、遺体搬送の業者を選ぶ際には、表示されている料金だけで選ばないことが重要です。遺体を納棺するまでの間、布団に寝かせている間は、枕飾りやローソク、線香、白菊の1本飾りなどの仏具をそろえ、枕飯や枕団子などの供物をお供えし、故人を偲ぶことが一般的です。そのため、搬送業者が最低限の仏具や供物を用意してくれるのか、安置する施設がある場合の一日あたりの料金などを確認することが大切です。

このプロセスはご遺族にとって心の整理をするための重要な時間となります。葬儀について話し合いながら、故人の希望や家族の願いを反映した計画を立てることで、故人への最後の敬意を示すことができるのです。自身の希望や条件を具体化させながら、葬儀全般について積極的に相談し、悲しみを乗り越える力とすることが大切です。

7:納棺とは

納棺とは、故人の遺体を棺に納める特別な儀式です。これは故人があの世へ旅立つための大切な儀式であり、親しい方が行うことが一般的です。納棺は、故人の最期の旅立ちを尊重し、故人を偲ぶための行為として重要です​​。

納棺の儀式は、故人が亡くなってから安置された場所で行われます。一般的にはご自宅で行われますが、現在は葬儀を行う葬祭場に直接遺体が安置されることも多いです​​。儀式は「末期の水」から始まり、これは故人の口元を水で湿らせることで、あの世への渇きを防ぐ意味が込められています​​。次に「湯灌(ゆかん)」で故人の体を清める行為が行われます​​。

納棺前には「死化粧」を施し、故人の身なりを整えることが行われます。これは故人の容貌を生前に近い状態にするためのもので、ご遺族の悲しみを軽減する役割もあります​​。最後には「死装束」の着付けが行われ、これは故人があの世へ旅立つための衣装です​​。

納棺にかかる時間は地域の風習や葬儀業者によって異なりますが、平均で1時間程度とされています。この時間は故人を偲びながら行うため、その期間は故人への思いを新たにする大切な時間となります​​。

しかし現代では、人々の意識や考え方の変化により、納棺の儀式を葬儀業者に依頼することが増えています。葬儀業者は、故人とのお別れをセレモニーとして扱い、納棺を含む葬儀全体を計画するサービスを提供しています​​。

この納棺の儀式は、愛する人への最後のサービスとして、深い感情を呼び起こすものです。ご遺族が直接参加することも、葬儀会社に委ねることも可能ですが、どの方法を選ぶにしても、故人への最大の敬意を表するための大切な儀式となります。

まとめ

この記事を通じて、病院で愛する人が亡くなった際の具体的な手続きとその流れについて理解を深めていただけたことと思います。現代では多くの人が病院で人生を終えるため、このような情報は誰にとってもいつか必要となる知識です。故人との最後の時間をどのように過ごすか、その大切な判断を迫られた時に、この記事が適切な行動をとるための指針となることを願っています。

長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。