危篤とはどんな状態なのか?家族として準備すべきこと
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大事な家族が危篤と告げられる瞬間は突然訪れるもの。私も母の危篤の知らせは、友人と出かけている先で電話が鳴りました。こうした記憶は経験した方ならどなたでも共感いただけることでしょう。せめてその際に慌てて何も手につかないなどということは避けたいものです。このコラムではいざという時に慌てないようにするために事前に知ること、準備できることを詳しくご説明していきます。
1.危篤ってどんな状態?重篤との違いは?
危篤とは、医学的に見て患者さんが生命の危機に瀕しており、死亡する可能性が高い状態を指します。この状態は、直接的に生命を脅かすような重篤な症状や状況が生じていることを意味します。重篤と比べると、危篤はさらに緊急性が高く、死亡の可能性が近いと考えられます。重篤は病状が深刻であることを示すが、必ずしも直ちに生命の危機にあるわけではない点が異なります。
2.危篤の連絡を受けたら準備すべきこと
危篤の連絡を受けたら、まずは落ち着いて、病院に連絡し、患者の現在の状態や必要な措置について医師からの詳細な情報を得ることが重要です。家族や近親者に連絡を取り、状況を共有します。可能であれば、患者さんが望んでいたことや、病院から推奨される手続きについて確認しましょう。また、病院への訪問や患者さんとの最後の時間を過ごすための準備も必要です。
3.危篤状態を知らせる人を決めておこう
家族内や親しい人々の間で、危篤の状態やその他の重要な情報を知らせる役割を担う人をあらかじめ決めておくと良いでしょう。この人が、病院や医師からの情報を受け取り、関係者に迅速かつ正確に情報を伝える責任を持ちます。これにより、情報の混乱を避け、家族が協力して行動できるようになります。
4.家族が危篤状態の時、仕事を休めるのか?
日本では、家族が危篤状態にある場合に限り、特別な休暇を取得することができる制度がある企業もあります。しかし、これは企業によって異なり、法律で義務付けられているわけではありません。そのため、所属する企業の人事部や上司に相談し、状況を説明して対応を求めることが重要です。
5.危篤状態のうちに用意しておくべき費用とは
危篤状態の際には、医療費や病院での治療に関わる費用、葬儀の準備に必要な費用など、さまざまな経済的負担が生じる可能性があります。可能であれば、葬儀社との事前相談や、費用の見積もりを取っておくことが望ましいです。また、生命保険やその他の保障制度が適用されるかどうかを確認し、必要な手続きを行っておきましょう。このような準備をしておくことで、実際に必要な時に慌てずに対応できるようになります。
6.危篤状態と言われても持ち直すこともある?
はい、危篤状態と診断されても、患者さんが持ち直すことはあります。治療の進展、患者さんの健康状態、さらには意志の力など、様々な要因が回復に影響を与えることがあります。しかし、これはケースバイケースであり、医師や医療チームの見解や指示に従うことが最も重要です。希望を持つことは大切ですが、現実的な状況を理解し、適切な準備をすることも同様に大切です。
危篤状態の際には、患者さんとの最後の時間を大切に過ごすこと、そして患者さんが平和に、尊厳を持ってこの世を去れるように支援することが家族にできる最善の行動と言えるでしょう。同時に、法的な手続きや経済的な準備など、様々な側面から準備を進めておくことが、後の手続きをスムーズに行う上で助けになります。
長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。