香典ってどう書くの?知らないと恥ずかしい香典のマナー
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親族や知人の訃報に接し、通夜や葬儀に行かなければならないとき、持参するのが香典です。
香典袋はコンビニやドラッグストアや100円ショップですぐに手に入るものの「何をどう書けば良いのか分からない」という方も多いはずです。
葬儀は、故人との最後のお別れの場でもあり、ご遺族に対しても配慮が必要となります。
香典を出す時にも、書き方、包み方、渡し方などに一定のマナーがあります。それを知らずに会葬に出かけて香典を出した結果、ご遺族への配慮が足りておらず、恥をかいたなどという話も聞きます。葬儀に参列する時に備えここでしっかり覚えておきましょう。
このコラムでは私の体験を元に知っている情報の中から香典袋の書き方について詳しく紹介します。
■香典の書き方
香典袋の表側には、次のことを書きます。
- 表書き:「御霊前(ごれいぜん)」「御香典(ごこうでん)」「御仏前(ごぶつぜん)」などが使われます。宗派によって異なるので、葬儀の宗派がわかる場合は、それに合わせたものを選ぶと良いです。
- 仏教:一般的に「御霊前」「御香典」
- 浄土真宗:「御仏前」
- 神式:「御玉串料」
- キリスト教:「お花料」「献花料」など
- 名前:表書きの下に、香典を出す人の名前を書きます。フルネームで書き、必要に応じて学校名やクラス名なども書くとわかりやすくなります。
■中袋の書き方
香典袋の中に入れる「中袋」には、次の情報を書きます。
- 表側(中心):入れた金額を書きます。金額は「壱万」「五千」などの旧漢数字で記入するのが一般的です。
- 例:10,000円の場合「壱萬円」、5,000円の場合「五千円」など
- 裏側(左下):自分の住所や氏名を書きます。遺族が後で確認できるようにするためです。
■香典袋に書くときは、どんな筆記用具で書けば良い?
香典袋や中袋には、筆ペンや墨を使います。黒いペンも使えますが、濃い色のボールペンは避け、できるだけ弔事用の筆ペンを使いましょう。
- 薄墨の筆ペン:不幸があったことに対する悲しみを表すため、薄墨が使われることが多いです。
- 普通の黒いインクの筆ペンも、薄墨が用意できない場合には使えます。
■香典の金額の注意点
香典の金額には、いくつかの注意点があります。
- 偶数は避ける:一般的に、2,000円や4,000円などの偶数は避けます。偶数は「割れる」意味合いを持つためです。
- 「4」と「9」は避ける:日本では、「4」は「死」を、「9」は「苦」を連想させるため、不適切とされることが多いです。
- 金額の目安:高校生の場合は、1,000円から3,000円が目安です。親しい関係であれば、少し多めの5,000円程度でも良いでしょう。
■香典袋のお金の入れ方
香典袋には、新札ではなく、使い古されたお札を入れるのが一般的です。新札を入れると「準備していた」という意味に捉えられることがあるためです。
- 入れる向き:お札の肖像がある方を袋の表面側に向けて入れます。また、人物が上になるように配置します。
■香典袋の折り方
香典袋には、折り方の決まりがあります。
- **包み紙(外袋)**を一度開け、上側が下に来るように折ります。
- 下側を上に重ねるようにして折ります。この順序は、弔事の「悲しみが上へ重なる」という意味を持っています。
■香典の包み方
香典を用意する際には、次のステップで包むと良いでしょう。
- 外袋に名前や表書きを記入したら、中袋にお金を入れ、きれいに折りたたみます。
- 外袋の中央に中袋を入れ、包みます。
- 最後に、包んだ香典袋をふくさに入れます。ふくさを使うことで、香典袋が汚れず、丁寧な印象を与えられます。
■香典の渡し方
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香典を渡すタイミング
香典は、通常次のタイミングで渡します:
- 通夜や葬儀・告別式の際、受付が設置されています。ここで香典を渡すのが一般的です。
- 自宅での弔問の場合は、玄関先で香典を渡します。
遺族が悲しみに暮れているので、手早く、そして丁寧に渡すのが大切です。なお、遺族の方へ直接手渡しするのではなく、受付の人に渡すようにしましょう。
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香典の渡し方
香典を渡す際には、ふくさに包んで持参し、渡す直前にふくさから出します。香典袋を直接手渡すのは失礼とされています。
- 受付の前でふくさから香典を取り出し、香典袋を両手で持ち、表書きが相手に読める向きにして渡します。
- 「このたびはご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」などの挨拶を添えて渡します。
- 香典を受付の人に手渡した後、遺族の方がいる場合は改めてお辞儀をして弔意を表しましょう。
ふくさの使い方:
- 広げ方:ふくさを自分側に向けて広げます。ふくさの左端から開けて、右側に広げます。
- 包み方:香典袋をふくさで包む際は、左側、上側、下側、右側の順に包みます。渡す際にふくさから取り出し、包み終わったふくさはそのまま畳んで鞄にしまいましょう。
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お悔やみの言葉
香典を渡すときの言葉は、シンプルで短いものが基本です。特に、遺族が深い悲しみにいる場合は、長い言葉を避け、簡潔で心のこもった言葉を選びましょう。
- 例1:「このたびは、心よりお悔やみ申し上げます」
- 例2:「ご愁傷様でございます」
- 例3:「ご冥福をお祈りいたします」
気を付けたい点として、「頑張って」「元気を出して」などの励ましの言葉や、「死」「生」などの直接的な表現は避けるようにしましょう。
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服装と身だしなみ
香典を持参する際の服装も重要です。葬儀や通夜では、以下のような服装が望ましいです:
- 通夜:急な訃報であることから、地味な服装(平服)で参加する場合もあります。男性なら黒や紺、グレーのスーツ、女性は黒や紺色のワンピースやスーツが適しています。
- 葬儀・告別式:礼服(喪服)が一般的です。男性は黒のスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイ、女性は黒いワンピースやアンサンブルを着用し、アクセサリーは控えめにします。
また、葬儀の場では、派手なアクセサリーや華やかなネイルなどは控え、シンプルで落ち着いた身だしなみを心がけましょう。
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その他のマナー
- 声を抑えて話す:葬儀の場では、声を控えめにし、静かな振る舞いを心がけます。
- 携帯電話はマナーモードに:着信音はマナー違反とされるため、必ずマナーモードか電源を切っておきましょう。
- 香典は財布やポケットに直接入れない:香典袋は、ふくさに包んで持ち歩きます。財布やポケットに入れるのは失礼とされるので避けます。
香典に関するマナーを理解しておくと、弔事の際にも失礼なく対応できます。状況に応じて臨機応変に対応できるようにしておくと良いでしょう。
長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。