香典の正しい包み方とは?お札の入れ方や金額の決め方を解説

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葬儀に参列するときには、香典を持参することが一般的です。

皆さんは、香典を用意する際に注意すべきことや、守るべきマナーを心得ていますか。

香典袋の種類、表書きの書き方、袋に納めるお札の向き、中袋の扱い方、香典として包む金額の相場など、いざというときにどうしたらよいのか迷う方もいるかもしれません。

そこで今回は、香典の正しい包み方や金額相場などについて解説します。

葬儀に参列する際には、亡くなった方への哀悼の意を表すために香典を持参します。香典の準備には、いくつかのマナーがあり、それらを適切に守ることで、故人への敬意を表現することができます。ここでは、香典の正しい包み方や金額の決め方について詳しく解説します。

1.香典の正しいお札の入れ方とは?

香典を包む際には、お札の入れ方にも一定のマナーが存在します。適切な形で故人への哀悼の意を表現するために、以下の手順でお札を入れましょう。

「新札を使用しない」

お札の向きを揃える」

お札を逆さまに入れる」

奇数の金額を避ける」

香典のお札の入れ方には、これらのマナーがありますが、最も重要なのは故人への敬意と哀悼の気持ちを形にすることです。地域や家庭によって慣習は異なるため、不安な場合は事前に家族や葬儀社に相談すると良いでしょう。とはいえ気になるマナーを項目ごとに説明してまいります。

2.新札は避ける

新札を使用することが多いとされますが、故人との「最後の別れ」を意味する香典には、あえて使用を避けるべきとする意見もあります。その理由としては、新札が「使われていない」「縁がない」という意味合いを持つため、若干使用を控える風習がある地域も存在します。ただし、これは地域や宗教による習慣の違いもあるため、一概には言えません。

3.お札の向きをそろえる

香典のお札は、顔の向きを揃えて入れることがマナーとされています。また、お札を折らずに、可能な限りきれいな状態で包むことが望ましいです。

4.4や9は避ける

香典の金額は偶数を避け、奇数で包むのが一般的です。ただし、「4」や「9」は不吉な数字とされるため避けられます。「4」は「死」と発音が似ており、「9」は「苦」に通じるとされるからです。このため、3,000円、5,000円、7,000円などが選ばれることが多いです。

5.中袋の書き方と向きに注意

香典袋の中には中袋を入れることがあります。中袋には自分の名前を記入し、その向きにも注意が必要です。中袋の表面が遺族から見て正しく読めるように、袋を入れる方向を考慮しましょう。

6.香典袋(不祝儀袋)の包み方のポイント

香典袋の結び方にもマナーがあり、「切り結び」を使用します。これは一度結んだら解けない結び方で、一度きりの別れを象徴しています。

7.香典袋(不祝儀袋)の種類

香典袋(不祝儀袋)には、葬儀や法要などで使用されるいくつかの種類があり、それぞれの用途や金額に応じて選ぶ必要があります。主な種類と特徴を以下に紹介します。

1.白無地の香典袋

  • 特徴: 最もシンプルで、どのような葬儀にも適しています。金額や用途によらず、幅広く使用できるのが特徴です。
  • 用途: 一般的な葬儀や法要など、さまざまな場面で使われます。

2.黒白ふちの香典袋

  • 特徴: 黒い縁取りがされており、白無地の香典袋よりもフォーマルな印象を与えます。縁取りのデザインには、直線のものや波打つものなどがあります。
  • 用途: 比較的近しい関係の故人の葬儀に適しています。

3.金銀糸入りの香典袋

  • 特徴: 金や銀の糸が織り込まれた豪華なデザインの香典袋で、高額な香典を包む際に選ばれることが多いです。
  • 用途: 親族や特に親しい人の葬儀など、より格式高い場に適しています。

4.蝶結びの香典袋

  • 特徴: 蝶結びのデザインが施されており、見た目が華やかです。結び目が「再び開ける」ことを意味し、一般的には再利用可能な祝儀袋と同じ結び方をしますが、葬儀用ではあまり推奨されません。
  • 用途: 葬儀ではなく、回向院(追善供養を行う寺院)へのお布施など、特定の用途に限定されます。

5.書き方・表書きの違い

香典袋には「御香典」「御霊前」「御仏前」など、状況や宗教に応じて適切な表書きを選びます。「御霊前」は神道、「御仏前」は仏教の葬儀で使われることが多いです。

香典袋を選ぶ際には、葬儀の形式や故人との関係、包む金額などを考慮して、適切な種類と表書きを選ぶことが重要です。また、地域や宗教による慣習の違いにも注意が必要です。不明な点があれば、事前に家族や葬儀社に相談すると良いでしょう。

8.香典の金額の決め方は?

香典の金額は、故人との関係性や地域の慣習、自身の経済状況などを考慮して決めます。一般的には、近しい親族であれば10,000円から50,000円、友人や同僚であれば3,000円から10,000円が目安とされていますが、これはあくまで一例です。重要なのは、形式にとらわれ過ぎず、故人やその遺族への敬意を形にすることです。また、複数人で香典を出す「合同香典」の場合は、金額を均等にするか、参加者全員の名前を記載し、その旨を遺族に伝えることが大切です。

9.最後に

香典を用意する際は、故人への哀悼の意を表すためのものであることを忘れず、心を込めて準備しましょう。また、葬儀の際には、遺族の負担を考え、香典だけでなく、言葉や行動にも配慮することが求められます。故人との最後の別れの場として、適切なマナーを守りつつ、故人を偲び、遺族を慰めることができればと思います。

香典の準備や葬儀での振る舞いは、故人への最後の敬意を示すとともに、生きている私たち自身が死と向き合い、人としての尊厳や絆を再認識する機会でもあります。この機会を通じて、故人を深く偲び、遺族や参列者と共に故人の人生を讃え、心からのお別れを告げましょう。

長久山安詳寺 僧侶
福島県出身
30代まで飲食店を経営していたが仏教に関心を持ち、僧侶に。
タイやカンボジアなど海外の仏教徒を通じ国際貢献活動も積極的に行う。